道太はすっかり御輿《みこし》をすえてしまった。

「おいしいかどうだか、食べてごらんなさい」「これあうまい。いろんな菓子があるんだね」道太は一つ摘《つま》みながら言った。 それからむだ話をしているうちに、じきに夕刻になった。道太は辰之助が来てから何か食べに行こうと思って待っていると、やがて彼はやってきた。そして三人そろって外へ出た。おひろだけは...

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寒晒《かんざらし》の粉のつぶつぶした、皮鯨《かわくじら》に似た菓子である。夏来たことがめったにないので、道太には珍らしかった。

道太の食物が運ばれた時分には、おひろは店の間へ出て、独り隅の方で、トランプの数合せに没頭していた。お絹は手炙《てあぶ》りに煙草火をいけて、白檀《びゃくだん》を燻《く》べながら、奥の室の庭向きのところへ座蒲団を直して、「ここへ来ておあがんなさい」と言うので、道太は長火鉢の傍を離れて、そこへ行って坐っ...

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 おひろは痩《や》せた小さい体の割りには、声がりんりんして深みがあった。

「ここのお神さんはおひろちゃんですよ。私は世話焼きに来ているだけなんです。いつまでこんなこともしていられないんです。働けるうちに神戸へ行って子供の守《もり》でもしてやらなければ」そして彼女は汚《よご》れた肌襦袢《はだじゅばん》を取りあげて、「これ洗濯に出してもいいんでしょう」「そうね。出してもら...

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